マドリード 中世で歩み止め、混在する文化〜神戸新聞音楽紀行でスペインへ(下)

【カテゴリー:行ってきました! 2012年2月 2日 13:25

 
 バルセロナから空路、マドリードに移動し、バスで1時間程の距離にある近郊の町を巡る。スペイン半島中部は薄茶色の麦畑が続く大地で、所々の小高い丘に、昔の風車と現代的な白い風力発電塔が混在し、新しい景観をつくっている。

 コンスエグラは、丘の上に昔の風車十数基を残し、今も利用している村だ。風車の塔は周囲に風穴が開き、毎朝、風向きを確認。支え棒で屋根を回し、風車を風向きに合わせる仕組み。内部は石壁の上に羽根を支える大きな木組みと、回転するコロでできており、その見事な構造に驚かされる。
 
 丘の上からはカスティーリャ平原が一望できる。山の斜面はオリーブやアーモンド、平地はブドウと麦畑。大地の恵みの豊かさが実感できる。
 
 町全体が世界遺産のトレドへ。三方をタホ川に囲まれ、レコンキスタ(イスラムからの国土回復運動)後の1085年から1560年までキリスト教国の首都として栄え、そのまま変化を止めた町だ。それまでのキリスト、ユダヤ、イスラム文化が混然一体となって今に伝わる。
 
 昼食はトレドの町を見渡す対岸のレストラン。ワインとマス料理の組み合わせは悪くないが、大味で何か物足りない。こっそり持参のしょうゆの助けを借りて味わう。
 
 町中のトレド大聖堂へ。13世紀に建設が始まり、屋根が架かったのは15世紀、完成は18世紀になってから。出来上がるまで500年という時間にただ驚嘆するばかり。中央聖壇の長椅子にはアルハンブラ攻防戦の見事な彫り物が施され、イスラムからの国土回復運動が、いかに民族の悲願だったかがうかがえる。
 
 中世の息吹をいっぱいに感じながら街中を散策。窓には花が飾られ、明るい光と影の対比が織りなす街の表情は至るところ絵になる風景だ。外観は16世紀の街並みが続く建物と変わらず、気付かずに通り過ぎてしまうような質素なサント・トメ教会。中には世界三大名画の一つといわれるエル・グレコの「オルガス伯の埋葬」が掛かる。
 
 街を抜けタホ川べりの断崖の上に立つ。眼下には青い水と14世紀に架けられたサン・マルティン橋。古代ローマ、西ゴート、イスラム、レコンキスタ、その後のキリスト教国へと悠久の歴史を見てきた川と、そこにくさびのように打ち込まれた石造りの堅牢(けんろう)な橋。そして中世で歩みを止めた町。あらためてスペイン文化の奥深さに触れることができた。(記事、スケッチ・茨木 保)
 

 
〈メモ〉
 スペイン・マドリードへは関西空港から東南アジアか、ヨーロッパ主要都市で乗り継ぎ17時間前後。今年の「神戸新聞音楽紀行」は6月にポーランドを予定しており、3月ごろから募集を開始する予定。また秋ごろには音楽に限らず芸術全般を楽しむ海外ツアーも計画している。神戸新聞旅行社TEL078・362・7174
 

スペイン紀行の詳しいスケッチ集をご覧いただけます。→こちら

 
 

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